()(しつ)(だん) 2/2

時機(じき)(かな)った折伏(しゃくぶく)(ぎょう)

 末法(まっぽう)において、正法(しょうぼう)弘通(ぐづう)のためには、折伏(しゃくぶく)(ぎょう)じて(じゃ)()(じゃ)(しゅう)破折(はしゃく)しなければなりません。

 しかし、折伏(しゃくぶく)相手(あいて)(たい)しては、ただやみくもに破折(はしゃく)するだけでは正法(しょうぼう)道理(どうり)目覚(めざ)めさせることはできません。

 どんな事情(じじょう)があるにせよ、きちんとした仏法(ぶっぽう)道理(どうり)()いて()かせ、最終的(さいしゅうてき)には謗法(ほうぼう)(はい)して、真実(しんじつ)三大(さんだい)秘法(ひほう)仏法(ぶっぽう)(みちび)()れることが大切(たいせつ)です。

 

 こうした(てん)から日蓮(にちれん)大聖人(だいしょうにん)は『太田(おおた)()()(もんの)(じょう)御返事(ごへんじ)』に、

()法門(ほうもん)()悉檀(しつだん)(こころ)()けて(もう)すなれば、(あなが)ちに成仏(じょうぶつ)()(たが)はざれば、(しばら)世間(せけん)(ふつう)()(もち)ゆべきか」((どう)1222(ぺーじ))

とも(おお)せられています。

 つまり折伏(しゃくぶく)大前提(だいぜんてい)としながら、その(うえ)()悉檀(しつだん)にも(こころ)をかけ、その時々(ときどき)(おう)じた弘教(ぐきょう)方法(ほうほう)(もち)いていく必要(ひつよう)があります。

 

 末法(まっぽう)日蓮(にちれん)大聖人(だいしょうにん)仏法(ぶっぽう)第一(だいいち)()悉檀(しつだん)とは、三大(さんだい)秘法(ひほう)受持(じゅじ)()(しめ)(こと)です。大聖人(だいしょうにん)が「()悉檀(しつだん)(こころ)()け」と()われる意味(いみ)は、その第一(だいいち)()悉檀(しつだん)()らせしめるために、世界(せかい)為人(いにん)退治(たいじ)悉檀(しつだん)(もち)いるということです。

 世界(せかい)悉檀(しつだん)とは、世間(せけん)迎合(げいごう)することではなく、第一(だいいち)()たる三大(さんだい)秘法(ひほう)受持(じゅじ)(しめ)しながら、()人々(ひとびと)(のぞ)み、(よろこ)ぶところにしたがって利益(りやく)(あた)えることです。

 為人(いにん)悉檀(しつだん)本来(ほんらい)摂受(しょうじゅ)(もん)配当(はいとう)される弘教(ぐきょう)方法(ほうほう)ですが、折伏(しゃくぶく)(さい)(もち)いることもあるでしょう。

 

 また、折伏(しゃくぶく)相手(あいて)にこれまでの信仰(しんこう)(あらた)めさせるのは容易(ようい)なことではありません。その場合(ばあい)三大(さんだい)秘法(ひほう)説示(せつじ)前提(ぜんてい)としつつ、為人(いにん)悉檀(しつだん)(もち)いて相手(あいて)(かんが)(かた)()(きわ)め、(じょ)(じょ)正法(しょうぼう)()くことが必要(ひつよう)場合(ばあい)もあるでしょう。

 退治(たいじ)悉檀(しつだん)は、まさに(じゃ)()邪法(じゃほう)謗法(ほうぼう)(ただ)ちに破折(はしゃく)して正法(しょうぼう)(みちび)くことです。

世間(せけん)人々(ひとびと)三大(さんだい)秘法(ひほう)受持(じゅじ)せしめるために、世界(せかい)為人(いにん)退治(たいじ)の三悉檀(しつだん)(てき)した(かたち)(もち)いていかなければなりません。

 

 

 我々(われわれ)は、(とき)(てき)した折伏(しゃくぶく)(ぎょう)をもって正法(しょうぼう)流布(るふ)精進(しょうじん)することが肝要(かんよう)です。(ほん)(もん)本尊(ほんぞん)(たい)信心(しんじん)をもって題目(だいもく)(とな)え、そしてより(おお)(にん)への折伏(しゃくぶく)(はげ)み、(こう)()()かって邁進(まいしん)してまいりましょう。


(*1)三毒(さんどく)・・・

(とん)(じん)()(みっ)つの煩悩(ぼんのう)のこと。この(みっ)つは、衆生(しゅじょう)(ぜん)(こころ)(もっと)(がい)根元(こんげん)煩悩(ぼんのう)であることから、三毒(さんどく)()う。三毒(さんどく)は、地獄(じごく)餓鬼(がき)畜生(ちくしょう)三悪道(さんなくどう)境界(きょうがい)(あらわ)している。つまり、貪欲(とんよく)自分(じぶん)(ほっ)するものに執着(しゅうちゃく)して(むさぼ)(こころ)で、餓鬼(がき)生命(せいめい)()う。瞋恚(しんに)()(ぶん)(こころ)(ちが)うものを(いか)(こころ)で、(いか)りは()(にん)()(あた)えるので、それが業因(ごういん)となって来世(らいせ)には(みずか)らが地獄(じごく)(むく)いを()ける。愚痴(ぐち)とは、道理(どうり)(まよ)(おろ)かな(こころ)で、(ほん)(のう)(てき)(うご)畜生(ちくしょう)生命(せいめい)()う。

大白(だいびゃくほう)977(ごう)より』